今回、MicrosoftがリリースしたInsider向けアップデートによって、標準搭載のツールである「メモ帳」「ペイント」「Snipping Tool(スニッピングツール)」がそれぞれ進化を遂げています。
Windows 11の標準アプリとして長年親しまれている「ペイント」のAI機能に「ステッカー作成」「オブジェクト選択」が導入されました。シンプルな描画ツールだったペイントもどこまで進化するのでしょうか。
今回ご紹介するのは、ペイントのバージョン11.2504.451.0にて搭載されたAI関連の新機能、「Sticker Generator」と「Object select」です。
AI機能で何ができる?ペイントの新機能まとめ
今回のアップデートで追加されたAI機能「Sticker Generator」と「Object select」とはどんなものでしょうか。
Sticker Generator(ステッカー・ジェネレーター)
これはユーザーが入力したプロンプト(指示)に基づいて、カスタムステッカーを自動生成する機能です。例えば「猫のイラストを作って」などと入力するだけで、AIが可愛い猫のステッカーを作成してくれるという、まさに夢のようなツールです。
用途としては、例えば
- SNS投稿やブログ用の素材作り
- プレゼン資料や教育資料のビジュアル強化
など、いろいろ使えそうですね。
Object select(オブジェクト選択)
こちらは、キャンバス上の特定のオブジェクトを自動で検出・強調表示してくれる機能です。
従来のペイントでは、自分で選択範囲を手動で指定する必要がありましたが、この機能によって作業効率は大幅に向上します。
写真やイラストの中で特定の人やモノだけを取り出したいときなどに、非常に便利な機能です。
ただし利用には「Copilot+ PC」が必須
残念ながら、これらの機能は現時点で「Copilot+ PC」に対応しているPCでのみ使用可能です。

わたしがWindows Insider の機能チェック用に用意しているPCはCopilot+PCに対応していないため、「Sticker Generator」も「Object select」もメニュー上に表示されませんでした。
ただし、他の生成AI機能である「Image Creator」「生成消去(Gen Erase)」「背景削除(Background Removal)」は利用可能です。

それぞれの機能について、簡単に補足します。
- Image Creator:プロンプトからイラストや写真風画像を生成。
- 生成消去(Gen Erase):選択した部分をAIで自然に消去。
- 背景削除(Background Removal):ワンクリックで背景を自動削除。
どれも実用的で、日常のちょっとした編集作業に役立つものばかりですね。
「Copilot+ PC」とは?
では、「Copilot+ PC」とは何なのか?少しだけ整理しておきましょう。
Copilot+ PCとは、生成AIのリアルタイム処理が可能なNPU(Neural Processing Unit)を搭載した次世代のWindows PCです。Microsoftが2024年に発表した新しいカテゴリのPCで、ローカル環境でも高速・高効率なAI処理が可能になります。
この新世代PCであれば、AIを活用した画像生成、リアルタイム翻訳、パーソナルアシスタントなどが、クラウドを介さずに利用できるようになります。
つまり、今回のペイントの新機能も、そのCopilot+ PCの性能を活かして初めて実現できる高度な機能というわけです。
あえてペイントで生成AIを使うメリット
Windows標準アプリである「ペイント」に生成AIが搭載されることで、画像編集の敷居が一気に下がります。ここでは、Photoshopなどの専用ツールではなく、あえてペイントでAIを使うメリットを10個ご紹介します。

すぐに起動できるWindows標準アプリで生成AIを使って画像編集ができるのはいろいろなメリットがありそうですね。
- 標準アプリだから、すぐ使える・導入不要
ペイントはWindowsに最初から入っているため、アカウント登録やインストールなしでAI機能を試せます。学習コストもゼロで、導入ハードルが極めて低いです。 - 動作が軽く、PCのスペックを選ばない
AIを活用する他の画像編集ソフトは重くなりがちですが、ペイントは非常に軽量。生成AIの恩恵を受けながらも、古めのPCや業務用PCでも快適に動作します。 - シンプルなUIで直感的に使える
ツールが少なく、インターフェースも単純なので、「どこをクリックすればいいかわからない」といった迷いがありません。初心者でもAI操作がすぐに理解できます。 - 背景削除や修正が一発で完了
AIによる背景削除や不要物の除去が、ワンクリックで可能。細かい選択ツールを使わずに済むため、画像編集に慣れていない人でもきれいに仕上がります。 - ちょっとした画像加工に最適
資料用のスクリーンショット、簡単なサムネ、ラフな構成案など、「軽く済ませたい作業」にAI機能を取り入れるのにちょうどいいバランスのツールです。 - 作業の途中でAIを取り入れやすい
描いたラフ画や落書きを、AI補完で“それっぽく”整えるなど、アナログ×AIの中間地点的な使い方ができるのは、手描き機能が強いペイントならではです。 - ファイル保存・形式変換が手軽
生成した画像はJPEGやPNGなどで即保存可能。ペイントを使えば、AI出力を簡単にファイル化し、WordやPowerPointにすぐ貼り付けられます。 - セキュリティ的にも安心
ローカルアプリであるため、オンラインAIサービスよりも情報漏洩のリスクが低く、業務上の画像(社内資料や顧客データ含む)も安心して編集できます。 - 生成AIを試す入り口として最適
高機能な画像生成ツールは学習コストも高めですが、ペイントなら「試してみる→理解する→次のステップへ」と段階的に慣れていくことができます。 - お絵描き感覚で創造的な使い方ができる
自由に描いた線やラフを起点にAIで補完・変換できるので、アイデア出しやデザインのたたき台づくりに最適。「遊びながら創る」感覚が持てるのも魅力です。

専門的な画像編集ソフトを使いこなせないわたしにはうってつけの機能です。
今後の展望と個人的な感想
今回のアップデートは、ペイントという長年愛されてきたツールの「AI時代への適応」を象徴するものであると感じました。
正直、ペイントにAIが搭載されるなんて数年前には想像もしていませんでした。それだけに、今後の進化には大きな期待を寄せています。
現状ではCopilot+ PC限定の機能が多いため、まだ一般ユーザーには手が届きにくい印象がありますが、Microsoftが将来的に機能の一部を通常のPCにも開放する可能性も十分にあるでしょう。そうなるとより多くのユーザーが恩恵を受けられるはずです。
ペイントもいよいよAI時代へ
今回の記事では、Windows 11のペイントに追加された新機能、「Sticker Generator」と「Object select」についてご紹介しました。
- 現時点では「Copilot+ PC」限定機能
- それでも「Image Creator」「生成消去」「背景削除」などのAI機能は利用可能
- 今後、より多くのユーザーに開放される可能性も!
ペイントはただの落書きツールではなく、いまや“AIで創る本格ツール”になりつつあります。
これからのアップデートにもぜひ注目していきたいですね。
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