Windows Insider Programの最新プレビュー「Insider Preview Build 27891」が、最も実験的な Canary チャネルに2025年7月3日付でリリースされました。
本ビルドでは、PowerShell 2.0の削除や「PCをリセット」の不具合修正など、地味だけど重要な改善が多数。さらに Microsoft Store の新機能も一部導入され、アプリのインストールがよりスムーズになっています。

今回のビルドは、UIよりも土台部分や安定性向上にフォーカスしているので、パッと見の進化はわかりにくいかもしれません。

PowerShellがなくなったってどういうこと?あと、ストアから直接インストールできるようになるって?すごく便利そうだけど、大丈夫かな…?
Canary チャネルとは?
そもそも Insider 各チャネルの違いは?
Insider Program にはいくつかのチャネルが存在し、それぞれ目的や安定性の度合いが異なります。最も先行した機能や変更をテストするのが「Canary チャネル」であり、これは試験的な性質が強く、不安定であることもしばしばです。しかしそのぶん、将来的に導入される可能性のある新機能をいち早く体験できるという利点があります。
一方で「Dev」「Beta」「Release Preview」といった他のチャネルは、安定性を重視した段階的な展開が特徴です。Canary チャネルで登場した機能が、これらのチャネルに時間をかけて順番に展開されていくケースが多く見られます。
Canary チャネル build27891 の位置づけ
今回紹介されている「Build 27891」は、2025年7月3日にリリースされた最新の Canary ブランチのビルドです。
このビルドでは、目に見えるような大幅なユーザーインターフェース(UI)の更新よりも、システムのバックグラウンド処理や Microsoft Store に関する改良といった、より基盤的な部分の強化が重視されています。
主な変更点と機能改善
PowerShell 2.0 の削除
かねてより非推奨とされていた PowerShell 2.0 が、今回の Canary ビルドにおいて完全に削除されました。
今後登場する Windows 11 の正式版でも PowerShell 2.0 のサポートが廃止される見通しであるため、引き続きこのバージョンに依存しているスクリプトやツールを使用している場合は、PowerShell 5.1 以降や PowerShell 7 など、より新しいバージョンへの移行準備を進めておくことが推奨されます。

もともと「非推奨」となっていた古い機能がついに廃止されたという意味だったんですね。

そのとおり。
PowerShell 2.0 は2009年ごろに登場した非常に古いバージョンです。
長年にわたって非推奨(サポートはするけど新しい環境では使わないことを推奨)とされてきました。セキュリティ的にもリスクが高く、今後のWindowsでは必要ないと判断され、Windows 11のCanaryビルドでようやく完全に削除されたということです。
ちなみに今の標準はPowerShell 5.1ですよ。
ストアの直接インストール機能
- Microsoft Store(バージョン22406.xxxx以降)で、注目セクションから直接アプリやゲームを即インストール可能になります。
- ダウンロードプロセスが短縮され、ストア体験が向上します。
「PCをリセット」不具合の修正
- 最新 Canary アップデート後に発生していた「設定→システム→回復」の“PCをリセット”が機能しない問題が解消されています。
タスクバー&UI表示の安定性向上
- タスクバーのアクリル素材が表示されない、背景が黒白化する不具合が修正されています。
Windows Update の進捗が停止する問題を解消
- アップデートが2%で止まる問題が発生していたものが解消されています。
マルチ言語文字化けの修正
- ベトナム語・アラビア語など、非A‑Z文字が乱れる不具合が解消され、タスクマネージャなどに正常表示されるようになっています。
その他の修正内容
- ファイルエクスプローラー:「…」メニューのドロップダウン切れ問題改善。
- 設定アプリ:マイクロフォンプロパティや Bluetooth 設定時のクラッシュ問題修正。
- ウィンドウの最小化アニメーション:正しくアニメーションが表示されるように。
- タスクマネージャー:
- CPUグラフの旧計算方式を改善。
- 新「CPUユーティリティ」列で System Idle Process が0にならないよう修正
- オーディオ:全システム音の消失問題、音量スライダークリック音などを復旧。
- フォントの破損/重なり:Hebrew記号や Thai 表示文字のズレ改善
- メディアプレーヤー:再生コントロールの歪み解消。
- LDAP クエリ遅延:アプリによるLDAP問い合わせの長時間化を是正
- 印刷プレビュー:ぼやけ問題を修正。
現在把握されている既知の問題
Copilot+ PC の生体認証問題
Dev、Beta、あるいは標準版の Windows から Canary チャネルに切り替えた際、一部の Copilot+ PC において、生体認証の設定がリセットされてしまう不具合が確認されています。具体的には、PIN や Windows Hello の情報が削除され、「0xd0000225」というエラーが表示されることがあります。
この問題は、Windows Hello の再セットアップを行うことで解消できる場合があります。
設定→電源&バッテリー操作時のクラッシュ
今回のビルドでは、「設定」アプリ内の「電源とバッテリー」セクションにアクセスした際にアプリがクラッシュするという新たな不具合が発生しています。この問題については、現在 Microsoft が調査中です。
Arm64 PC でのリモートデスクトップ描画崩れ
Arm64 アーキテクチャの PC でリモートデスクトップを利用した場合に、画面表示が大きく崩れてしまうという不具合が新たに報告されています。この現象も現在 Microsoft によって原因の調査が進められています。
【まとめ】今回のビルドはどんな人におすすめ?
今回の「Windows 11 Insider Preview Build 27891」は、Canaryチャンネルに向けた最新の開発版で、見た目の変化よりも、システム基盤の改良や機能の安定性向上に重きを置いた内容となっています。
PowerShell 2.0の完全削除や、Microsoft Storeでのアプリ即時インストール機能など、ユーザー体験を裏側から支えるアップデートが中心です。
また、「PCをリセット」機能やタスクバー表示の不具合修正、非ラテン文字の文字化け改善など、細かいバグ対応も多数盛り込まれています。

ただし、Canaryチャンネルは実験的な領域ですので、安定性や互換性に課題が残ることも多いため、導入には注意が必要です。
開発者・ITプロ | ◎ | 安定性・診断・ストア改善を先取り可能 |
早期テスター | ○ | 新機能試しつつ、不具合報告に貢献可能 |
一般ユーザー | × | 安定性に不安あり。日常用途には非推奨 |
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