Windows 11の最新Insider Preview(Canary/Devチャネル)で、メモ帳(Notepad)アプリに大きなアップデートが入りました。新しく表(テーブル)表示とAIによる文章生成が使えるようになり、シンプルなメモ帳が「軽量ドキュメントツール」としての色を強めています。とくにWindows11を日常的に使っているユーザーにとっては、使い方を見直すタイミングになりそうです。
今回の変更の柱は2つです。ひとつは、Markdownにも対応したテーブル(表)機能の追加。もうひとつは、Notepad内蔵の「書く・書き直す・要約する」といったAI機能の結果がストリーミング表示されるようになったことです。これにより、結果を待つだけのツールから、「見ながら編集していく」スタイルへと変わりつつあります。
もともとメモ帳は「とりあえずテキストを開いて確認する」「ちょっとしたメモを書く」ための、軽くて速いアプリとして愛されてきました。そこに表やAI機能が入ることで、「ログや設定ファイルの閲覧ツール」として使っている人と、「簡易エディタ」として使っている人で、評価が分かれそうです。
この記事では、今回のアップデート内容や背景、実際の使いどころと注意点を、Windowsユーザー向けに分かりやすく整理して解説します。

「メモ帳なんて昔からある地味なアプリ」と思われがちですが、ここ数年でMarkdown対応やAI連携が進んで、気づけばかなり“別物”になりつつあります。今回の表機能とAI強化は、その象徴的な一歩ですね。

えっ、メモ帳に表とAI? 便利そうだけど、「ただのテキストビューア」として使ってた人からすると、ちょっと重くなりそうで心配かも…。
Windows 11のメモ帳に表とAI機能が追加
今回のNotepadアップデート概要
Microsoftは2025年11月21日、Windows 11向けのメモ帳アプリ(Notepad バージョン 11.2510.6.0)の更新を発表し、Windows Insider ProgramのCanaryチャネルとDevチャネルに向けて順次ロールアウトを開始しました。
このアップデートで追加された新機能は大きく2つです。ひとつは、メモ帳の軽量な書式設定機能を拡張したテーブル(表)表示への対応。もうひとつは、「書く(Write)」「書き直す(Rewrite)」「要約する(Summarize)」といったAIテキスト機能で、結果がストリーミング表示されるようになった点です。
メモ帳は長年プレーンテキスト専用のツールでしたが、2025年6月のアップデートでMarkdown形式や太字・箇条書きなどの書式に対応しました。今回のテーブル機能は、その流れを受けて、より構造化されたメモや簡易ドキュメントを作りやすくするための拡張といえます。
テーブルは、メモ帳ウィンドウ上部の書式ツールバーから「Table」を選ぶことで挿入できます。行数×列数をグリッドから選ぶ方式で、右クリックメニューやツールバーの「Table」メニューから行・列の追加/削除も簡単に行えます。従来どおり、Markdown記法で表を書いてもテーブルとして認識されるため、「Markdown派」のユーザーにも向いた設計です。
AIテキスト機能では、これまでも文章の生成・書き直し・要約が行えましたが、レスポンスが一気に表示される仕様でした。今回のストリーミング表示では、Webブラウザ上の生成AIと同じように、テキストが少しずつ流れてくるため、途中で止めたり、気になった部分をその場で修正したりしやすくなっています。
技術的な背景と狙い
Microsoftがメモ帳をここまで拡張している背景には、「軽量なMarkdownエディタ兼AIノート」という新しい位置づけが見えてきます。プレーンテキスト編集だけでなく、ちょっとしたドキュメントや議事メモ、ToDoを表形式で整理し、そのままAIに書き直しや要約を依頼する――という一連の作業を、1つのアプリで完結させたい意図がうかがえます。
- 「メモ帳=プレーンテキスト」という従来の役割から、「軽いMarkdown/表エディタ」へのシフト
- Windows 11全体で進んでいるCopilotや生成AIとの連携を、標準アプリにも広げる狙い
- WordPad廃止後の「ちょっとした文書編集」の受け皿として、メモ帳の機能を底上げする動き

要するに、「メモ帳=最小限のツール」から「ライトな作業なら完結できるツール」へ押し上げていく流れですね。その分、従来どおりの感覚で使いたい人とのギャップも生まれそうです。
ここからは、ユーザー目線でのメリットと不安材料、そして実務での付き合い方を見ていきます。
一方で、「メモ帳はシンプルなままで良い」という声も
海外の掲示板やテック系メディアでは、「機能が増えすぎてメモ帳らしさが失われつつある」「AI機能や書式は別のアプリに任せるべきでは?」といった否定的な意見も多く見られます。Notepadを“最も軽いテキストビューア”として重宝してきたユーザーにとっては、起動の速さやシンプルさこそが価値だったからです。
とくにAI機能については、「誤操作で機密情報を送ってしまわないか心配」「サインインや課金が必要なら、そもそもメモ帳では使わない」といった声もあります。AI部分はオフにできるとはいえ、「余計なボタンが増えること自体が嫌だ」という、“AI疲れ”に近い反応も出ています。
なお、今回のテーブル機能とAIストリーミング表示は、現時点ではあくまでInsider向けの先行配信です。一般ユーザー向けにどのタイミングで提供されるか、最終的にどこまでの機能が残るかは、今後のフィードバック次第といえるでしょう。
そのため、「本番環境として業務PCに一気に展開される」という段階ではなく、まだ「お試し段階」の機能です。とはいえ、方向性としては表とAIが今後もメモ帳に残っていく可能性が高く、今のうちに使いどころと注意点を把握しておく価値はあります。
新しいメモ帳の機能を試すときのポイント
表やAI機能を試す基本ステップ
まず前提として、今回の新機能はWindows Insider ProgramのCanary/Devチャネル向けに提供されています。一般向けの安定版Windows 11では、まだ利用できない環境も多い点に注意してください。
Insiderチャネルを利用している場合は、Microsoft Store経由でメモ帳アプリを最新バージョンに更新したうえで、メモ帳を起動します。ウィンドウ上部に書式ツールバーが表示されていれば、その中に「Table」アイコンやAI関連のボタンが並んでいるはずです。
| タスク名 | 担当 | 期限 |
| -------- | ---- | ---- |
| 仕様検討 | 佐藤 | 12/01 |
| 資料作成 | 鈴木 | 12/05 |上のようなMarkdownの表を貼り付けると、書式モードではきちんとしたテーブルとして表示されます。ツールバーの「Table」から作る場合でも、あとから右クリックで行や列を増減できるので、簡単な工程表やタスク一覧なら、わざわざExcelを開かなくてもメモ帳だけで管理できるようになります。

よく使うMarkdownの表は、あらかじめテンプレートとしてどこかに保存しておき、必要なときにメモ帳へ貼り付けて使うと便利です。列名だけ差し替えれば、そのまま議事メモのひな型にもなりますよ。
AI機能については、企業や自治体などでの利用ルールに左右されます。個人利用で試す場合も、機密情報や個人情報を含むテキストを安易にAIに投げない、といった基本的なリスク意識は忘れないようにしましょう。
現在の状況を整理すると…
- 現時点では、Canary/DevチャネルのWindows Insider向けに新しいメモ帳が配信されている段階
- 一般向けWindows 11への展開時期や、最終的に残る機能セットはまだ正式には確定していない
- 表機能は「軽いドキュメント作成」には便利だが、「設定ファイル編集」には書式オフ運用が無難
- AI機能は生産性向上に役立つ一方で、情報管理ポリシーや誤操作リスクへの配慮が欠かせない
こうした状況を踏まえると、「便利な新機能として活用しつつ、従来どおりのシンプルなメモ帳としても使えるよう設定を見直しておく」のが現実的なスタンスです。書式やAIを必要に応じてオン/オフし、自分や組織の用途に合った使い分けを意識するとよいでしょう。
企業・自治体など業務現場での影響は?
「標準アプリだから」と油断していると、メモ帳経由でクラウドに情報が流れる可能性も出てきます。
これまでの業務利用では、メモ帳は主にログファイルや設定ファイル、ちょっとしたテキストの確認用として使われてきました。書式もなく、ネットワークとも無関係な“ローカル専用ツール”という前提で運用設計されているケースも少なくありません。
しかし、AI機能を利用する場合は、入力したテキストがクラウド側で処理される前提となります。そのため、次のような観点で、情報システム部門や現場のルールを見直す必要が出てきます。
たとえば、
- 業務端末ではメモ帳のAI機能を無効化する/利用禁止とするかどうか
- ログや設定ファイルなど、機密性の高いテキストをAIに渡さないルールを明文化する
- Markdownや表の書式が入ることで、システム系テキストの閲覧・編集がしづらくならないよう、表示モードを周知する
結果として、端末標準アプリであっても「どの機能まで使って良いか」を明示する運用ガイドラインが求められる場面が増えていくでしょう。メモ帳は軽いツールだからこそ、現場で使われる場面が多く、影響範囲も広くなりがちです。
まとめ
Windows 11のメモ帳アップデートは、単なる小さな機能追加ではなく、「テキストメモ」「軽いドキュメント」「AIによる文章補助」をまとめてこなすアプリへと進化させる転換点といえます。
ただし現時点ではInsider向けの段階であり、一般ユーザーがいつ、どの形でこの変化を受けるのかはまだ流動的です。とはいえ、Markdown対応やAI連携という流れ自体は後戻りしづらく、今後のWindows標準アプリ全体にも広がっていく可能性があります。
個人ユーザーであれば、「表やAIを活かして、ちょっとした資料作成や文章整理を手早くこなす」。企業・自治体のユーザーであれば、「設定を確認し、使ってよい機能と禁止すべき機能を切り分ける」。この2つを意識するだけでも、今回のアップデートとの付き合い方はずいぶん明確になるはずです。
最後に、実際に触ってみて「自分はどこまでメモ帳に任せるか」を見極めておくと、今後のアップデートにも振り回されにくくなります。
- 表機能で「軽い資料」や「タスク一覧」をメモ帳だけで完結させる使い方を試す
- AI機能は、まずは個人利用の範囲で試し、「どこまで頼れるか」を体感しておく
- 業務端末では、情報管理ポリシーに沿ってメモ帳の設定や利用ルールを決めておく

「標準アプリだから何も考えずに使う」のではなく、「標準アプリだからこそ、どこまで活用するか自分で決める」。それが、これからのWindows 11とメモ帳との付き合い方になっていきそうですね。


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