Windows Insider向けに、2025年7月14日(日本時間)に公開された「Windows 11 Insider Preview Build 26200.5702(KB5062653)」では、AI活用の強化やセキュリティアップデート、UX改善を盛り込んだ内容になっています。
特に、Copilot+環境下での“画像説明”機能や、権限昇格の安全性強化、ファイル操作やタスクバーに関する修正など、幅広く手が加えられています。
この記事では、その中身を初心者にも分かりやすく整理して解説します。

最新InsiderビルドではAI説明や管理者保護、ファイル操作の安定性改善といった実用的なアップデートが多数追加されていますよ

“Copilot+”って何?画像を説明するってどういうこと?セキュリティ改善って具体的には?
Copilot+の新しいAI体験
今回のビルドでは、Copilot+PC向けの新機能として「Describe image(画像を説明する)」という機能が追加されました。
これは、ユーザーが選択した画像やスクリーンショットなどに対して、AIがその内容をテキストで要約・説明してくれるというものです。ビジネス資料のグラフや複雑な図解も、AIが自然言語で内容を説明してくれるため、資料理解や翻訳支援などの場面でも大きな力を発揮します。
この機能は、まずSnapdragon(スナドラ)搭載のCopilot+PC向けに提供され、今後AMDやIntelの環境でも利用できるようになる予定です。また、初回利用時にローカルにモデルがセットアップされ、処理も端末内で完結するため、セキュリティ面でも安心して使うことができます。
Administrator Protectionって何?
さらに、セキュリティ面での改善として注目なのが、「Administrator Protection(管理者保護)」という新機能の導入です。
この機能は、Windowsにおける管理者権限の扱いをより安全にする仕組みで、ユーザーが普段は標準権限で作業し、必要な場面でのみ一時的に管理者権限に昇格するという流れを導入しています。
このようにしておくことで、悪意あるソフトウェアやユーザーによる不正操作のリスクを減らすことができ、セキュリティの強化に大きく貢献します。
なお、この機能はまだ初期状態では無効化されており、Windowsセキュリティやグループポリシーエディタから手動で有効化する必要があります。
UIやシステム設定の改善ポイントは?
今回のビルドでは、プライバシー設定周りのUIにも手が加えられています。
たとえば、マイクやカメラへのアクセス許可を求めるダイアログは、これまでとは違い、システム全体をモーダル表示する形に刷新されました。これにより、画面の背景が暗転し、ユーザーの注意がダイアログに集中しやすくなっています。これは視認性・操作性の両面で進化した好例といえるでしょう。
加えて、「Smart App Control(スマートアプリ制御)」というセキュリティ機能も、一部のInsider環境で自動的に一時的に有効になるよう変更されています。評価モードの範囲であるため、必要に応じて手動でオフに戻すことも可能です。
また、古いPowerShell 2.0がこのビルドから正式に削除されました。今後はPowerShell 7などの新バージョンへ移行する流れがさらに加速すると思われます。
日常操作を快適にする修正点
ユーザーの体験に直接関わる細かな不具合の修正も数多く含まれています。
たとえば、タスクバーでアプリのアイコンにホバーした際に、まったく関係ないエクスプローラーウィンドウがプレビュー表示されるという問題は解消されました。また、検索ボックスのアニメーション挙動についても、無効設定にしているのにアニメーションが動作するという現象が修正されています。
ファイルエクスプローラー関連では、ファイルコピー時の進捗ダイアログが表示されない、ZIPファイルの展開が異様に遅い、ファイルのアイコンが白紙になる、起動時に画面が白くフラッシュするなど、細かいけれど気になる不具合が一気に修正されています。
イベントビューアではFirewallの設定読み込みエラー(エラーコード2042)が発生していた問題が改善され、通知に関してはクリックしても最前面に表示されないといった不具合も修正されています。
既知の問題点と対処法
今回のビルドにもいくつかの既知の問題があります。
たとえば、アップデート時に「0x80070005」のエラーが発生し、ロールバックされてしまうケースがあります。この場合、「設定 > 回復 > Windows Updateの問題を修正」から対応できます。
また、グループポリシーエディタでエラーが出る場合があることや、スタートメニューの新バージョンではタッチジェスチャーやドラッグ&ドロップが不安定になるといった問題も報告されています。
XboxコントローラーとのBluetooth接続においてクラッシュが発生することがあり、これについては関連ドライバーをアンインストールすることで一時的に対応可能です。
また、Copilot+PCでClick to Doの初回起動が遅い場合があること、Microsoft Changjie入力方式で文字選択ができないこと、ウィジェットの新UIでピン留めができないことなども確認されています。
その他の補足事項
このビルドは「Windows 11 Version 25H2」に基づく開発ビルドで、段階的に機能が展開される「Controlled Feature Rollout」方式が採用されています。そのため、同じビルド番号でもすべてのユーザーに新機能が同時に表示されるとは限りません。また、現在テスト段階の機能については正式版には含まれない可能性もあります。
さらに、Betaチャネルで先に導入された機能がDevチャネルに逆流する場合もあるため、チャネルごとの機能差には引き続き注意が必要です。アクセシビリティやローカライズの対応も順次進められており、Insider Programを通じたフィードバックが非常に重要なフェーズに入っています。
ポイント整理
- Copilot+PCで画像の内容をAIが説明する「Describe image」機能を追加
- 管理者権限を一時昇格で利用する「Administrator Protection」が新登場
- プライバシーUIやSmart App ControlなどでUXとセキュリティを同時強化
- タスクバーやファイル操作など日常操作に関する不具合を多数修正
- 一部の環境では既知の問題が継続中。ロールバックやクラッシュ対応が必要なケースも
- 機能は段階展開中で、すべてのユーザーに一斉配布されるわけではない点に注意
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