ネットワーク管理で意外と難しいのが、DHCPサーバーのIPアドレス「リース期間」の設定です。長すぎるとアドレス枯渇の原因になり、短すぎると無駄なトラフィックが増えます。
この記事では、初心者にもわかりやすく、DHCPサーバーの仕組みから「リース」「リース期間」が何か、適切な値の考え方までをていねいに解説します。
ネットワークの安定稼働を目指す方はぜひチェックしてみてください。

リース期間を見直すだけで、ネットワークの安定性がぐんと改善します。基本からしっかり押さえましょう。

リース期間って短くすればいいの?長ければ安心?なんだか迷っちゃうな…わからないな…
DHCPサーバとは
DHCPサーバ( Dynamic Host Configuration Protocol )は、LAN接続されているPCに、IPアドレスを自動で割り当ててくれるサーバです。
ネットワーク機器やサーバなどは、基本的に固定IPを必要とするため、手動でIPアドレスを設定しますが、企業LAN内のクライアントPCのように、IPアドレスが変わっても問題のないようなPCには、DHCPサーバがIPアドレスを動的に割り当てるのが一般的です。
IPアドレスのリースとは
IPアドレスのリースとは、DHCPサーバがDHCPクライアントにIPアドレスを割り当てることです。
リース期間とは
DHCPサーバではリース期間が定められています。リース期間というのは、その期間内だけDHCPクライアントが割り当てられたIPアドレスを使用することが許されるような期間のことです。
ちなみに下図は、古いものになりますがWindowsServer2003のDHCP管理ツールです。
リース期間内にDHCPクライアントが電源を切るなどして、IPアドレスが不要になった場合には、IPアドレスは解放されます。
リース期間を越えたとき、DHCPクライアントがまだ接続状態である場合には、DHCPサーバに対してリース期限の更新の要求を行います。簡単に言うと、時間を過ぎてもクライアントが存在する場合は、クライアントはサーバと対話してIPアドレス貸し出し延長を要求します。
ちなみにDHCPサーバは過去にクライアントに割り当てた情報の履歴を保持していて、基本的にはその履歴をもとに、以前に割り当てたIPアドレスと同じIPアドレスを割り当てようとします。
リース期間を設定する時の考え方
用意されているIPアドレス数に対して、クライアント端末数が多い場合、リース期間は短めに設定しておくべきです。
リース期間を「無制限」に設定している場合、一度割り当てたIPアドレスは特定のクライアントPCのみに占有されてしまいます(仮にそのクライアントPCの電源が入っていない場合でも)。このため、「クライアントPC数 > IPアドレス数」の状態になり易くなります。この状態になった場合、以降にLAN接続したクライアント端末は接続ができなくなります。
DHCPでIPアドレスがうまく切り替わらない場合の対応方法
DHCPでIPアドレスがうまく切り替わってくれない場合、クライアントPCで一度手動でIPアドレスを解放してから取得し直すことで、現象は解消します。以下がそのコマンドとなります。
IPアドレスの解放
ipconfig /release
IPアドレスの取得
ipconfig /renew
まとめ
DHCPのリース期間を見直すことは、ネットワーク効率と安定性を両立するうえでとても重要です。長すぎず短すぎない、適切なリース期間を設定することで、IPアドレスの有効活用と通信負荷をうまくバランスできます。状況に応じて柔軟に調整して、全体の最適化を目指しましょう。

リース期間の設定がネットワークの品質を左右します。正しい調整で、安心して運用できる環境をつくりましょう
DHCPサーバーやネットワーク管理についてもっと詳しく知りたい方には、以下の書籍をおすすめします。ネットワークの基本から高度なトラブルシューティングまで網羅していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

